はじめに
これから農業を始める、または今まで使っていた鍬が摩耗して使えなくなってしまったという方へ。よし、これから鍬を買いに行くぞっていうその前にこの記事を読んで頂ければ多少の力になれると思います。
使いにくい鍬の理由
鍬にも用途や地域により色々あるんですが、今回はどの地域でもよく使われる又鍬(写真は四つ鍬)を例に。よくお客さんから、
『鍬買ったんだけどなんか難しいんよねぇー』
と聞くとこがあります。その『何か難しい』には色んな理由がありますが、
主な理由として
- 重さが合わない
- 鍬自体が切れない
- 柄が緩んでいる
- 角度が合わない
- その地域の土質に合わない
だいたいこの辺りだと思います。
鍬の重さ
重さは一度持ってみれば分かると思いますが、これは好みですね。重い方が立ち込みは良いですし、軽いと長時間使っても疲れにくいというそれぞれ特徴があります。
ベテランの農家の方でも『重い鍬の方がええよ。持ち上げて後は落とすだけで勝手に土に入るから力が要らんのんよ』と言われる方もいますし、『軽ければ軽い方が疲れんからええんよー』と言う方もおり、意見の分かれるところです。鍛冶屋視点から見ると、最近は軽い鍬を好まれる方が増えていると感じます。
鍬自体の切れ味
出来るだけ焼き入れ(熱処理によって切れ味や強度を増加させる事)をしてある物を選ぶようにしましょう。良く切れる鍬を使うと力をあまり必要とせず楽に作業する事が出来ます。
柄が緩んでいる
あってはならない事ですが、お店に展示している間に柄が痩せて買った時点で既に柄が緩んでいる場合があります。しっかりと確認してから購入してください。
鍬の角度
角度は使いやすさを決める大事な要素なのですが、結構みなさん確認せずに購入される方が多いようです。
なので次は角度について説明します。
鍬の角度の好みは人それぞれです。
小さいお婆さんが90度に近いような鍬を使っていたり、背の高い人が45度くらいの鍬を腰をかがめて使っていたりと、びっくりすることがよくあります。
とはいえ、それは長年鍬を使い続けて選んだ角度であって初めて鍬を買う方が極端な角度の鍬を選ぶのはオススメできません。直角に近いと耕すのは簡単ですが、土を寄せたり上げたりという作業が難しくなります。逆もまたしかり。経験上、平均的な角度としてはだいたい60度あたりかと思います。
しかし、分度器を持って鍬を選ぶのは無意味です。それは、体感的角度は柄の長さや鍬の長さによっても変わるからです。
鍬の地域性
ホームセンターなどに置いてある鍬はほぼ他県、もしくは輸入されたものがほとんどです。全国には又鍬一つ取っても数多くの種類があります。それは土質や耕作方法の違いに合わせて鍬の形や寸法も違うからです。なのでお店にある鍬が必ずしもあなたの地域に合っているとは限りません。なので、近所の農家の方の鍬も参考にしてみると良いでしょう。よければ下の記事も参考にどうぞ。
最後に
上記のことを一応頭の中にいれて、そして
実際、手に持って構えてみる
それだけでだいぶ違った鍬選びになると思います。
それでは皆さんよき鍬ライフを!