鍬の手入れはどうしたらいいの?
よくお客さんにこう聞かれます。そんなときいつも自分はこう答えます。
『まず、使ってください。そして、使った後は洗って掛けておいてください。』
皆さん疑問に思っているみたいですね、もう何度言ったか覚えていません。
こんな感じで洗って掛けておけば大丈夫です。いや、簡単な事なんですが、結構深い意味があります。鍬は使わないと少しずつ錆びていきます。ですが使えば使うほどと土の中で磨かれて、表面が滑らかになり錆びにくくなっていくのです。そして、使った後、きれいに洗って泥を落とす。泥を付けっぱなしにしておくとその部分だけ錆びていき、土離れが悪くなる原因になるのです。
たまに見かけるのですが、錆びないようにと油を塗ってから片づける丁寧な方がいます。少量ならば良いのですが、時々たっぷり油をつけて・・・いや、鍬ごと油に漬けたかのように柄まで油が染みこんでいるのを見ることがありますがこれは絶対にやってはいけません。柄に油が染みこむと柄が柔らかくになってしまい、鍬から柄が抜けやすくなってしまいます。そして、クサビも効きにくくなります。
一旦油が染みこんだ柄はどんなに時間が経っても油が抜けて元に戻るということはありません。そうなってしまうともう柄を切ってしまうか、新しい柄に換えてしまうしかないですね。それを【油腐り】と呼んでいます。もし、錆止めに油を塗るのでしたら、柄に付かないように余分な油はすぐ拭き取ってください。
他に、使わない間は水に浸けておく方もいますが、これも柄が朽ちる原因になるので止めた方がいいですね。
そして、できるだけ直射日光や雨のかからない所に掛けておく。これは柄が曲がらないようにするためです。鍬を畑に置きっ放しにしておくと、雨が降ったり日が照ったり・・・気づいた時には柄が曲がっていたなんてことがよくあります(泣)
余談ですが
その方は誤って鍬をため池に落としてしまったそうです。
すると、なんということでしょう!
ため池の中から金と銀の鍬を持った女神さまが!・・・
という展開には当然ならず、、、数ヶ月後に池の水を抜いた時にやっと鍬を拾う事が出来たそうです。私も見せてもらったのですが、なんとその鍬は大きく蛇行するようにグニャグニャに曲がっていました!
ちょっと極端な話ですが、やっぱり濡らさない方がいいなぁと思わせるエピソードでした。軽く脱線してしまいましたが、こうならないようにできるだけ持ち帰るようにしましょう。
最後に
鍬の柄は使っていくうちに汗や手油ですこしずつ磨かれていきます。そして、長年大切に使うことによってきれいな光沢を放ち、手にしっくりくる握り心地のよい柄になるのです。
では皆さん復唱しましょう。
まず使う、使った後は洗って掛けておく。
それでわ良き鍬ライフを~!