柄の曲がりを直す方法

鍬の柄が曲がっている場合

ウチは鍬の鍛冶屋なのでやはり年間結構な数の鍬の柄を消費します。

立てて置いてある7本の鍬の柄

なのでそれなりの数を仕入れます。するとだいたい何本かの柄に曲がりがありますが、

これは当たり前のことです、木は生きているのですから

こうやって柄をにらんで見ると、

上から見た少し右に曲がった鍬の柄

若干右に曲がっているのでこれではお客さんには出せません。なので直す事にしましょう。まだ、未使用の比較的新しい柄なら曲がりを直す事ができます。逆に何年も使って乾燥し、色が変わってしまった柄の曲がりはもう直りません。

柄の曲がりの直し方

まず、曲がった所周辺に水をかけて十分湿らせます。

蛇口から水をかけられている鍬の柄

そして、その湿らせた部分を火であぶります。

ウチでは火床の火でゆっくりあぶりますが、一般の方は七輪などでよいかと思います。とにかく焦がさないように。

地面に置かれた七輪

焦げないようにゆっくりと出したり入れたり回したり、しっかり芯まで熱を持たせてください。そして、触ってみて、アチッと思ったら、

体重をかけて曲げられている鍬の柄

ゆっくりと体重をかけながら曲がった所に圧力をかけてやると少しずつ直っていきます。一気にを入れたらダメですよ!折れちゃいますので!

柄の曲がりがきつい場合は、

地面に置かれた万力

万力に咬ませて直して行きましょう。

万力に挟んで体重を掛けられている鍬の柄

そして、しっかり冷めるまで立てかけておく。

立てかけられた鍬の柄

1週間くらい経ってまっすぐのままだったら、もう大丈夫。

このように一発で直る場合もあれば、時間が経つとまた曲がりが出る事もあります。

そういうときはまた、直してやりましょう。しつこい曲がりも何度か繰り返しているうちに曲がらなくなってきます。曲がりが複数あるような柄は一回で直そうとせずに、

一カ所直しては日を変えてまた直す、という風にした方が結果として、きれいなまっすぐになるので慌てず時間をかけてとにかく焦がさないようにやってください。

山鍬の柄が曲がっている場合

山鍬などの柄は太くて丈夫なため炙ってもほぼ直りません。希に直る事もありますが、一度試して直りそうにないならもうやめた方が良いでしょう。何回直しても上手くいかない上に焦がして柄が真っ黒になってしまったという事もよくありました。

ジョレン(鋤簾)の柄が曲がっている場合

ジョレン(鋤簾)の柄は柔らかいので折れやすく、炙るとすぐ焦げるので直す事はオススメしません。ジョレンの柄が曲がっている場合は金具で固定するときに振り(柄の傾き)を調整してまっすぐ使えるようにしてください。

新しい柄を買うとき

新しい柄を購入するときはとにかくまっすぐかどうか確認してから買うようにしてください。当たり前の事のようですが、結構気にせず買われている方が多い気がします。そして、しばらく使わない場合は湿気が少なく日の当たらないところに立てて保管するようにしてください。後から曲がることもあるので気がついたらすぐ直すようにしてください。

それでは皆さんよき鍬ライフを~!