バチツルの柄の入れ方 

バチツルとは?

柄の付いていないバチツル

このようにバチ鍬ツルハシが一緒になった鍬なのでバチツルと言います。固いとことを打ったりするのに便利な鍬で、かなり無理がききます。

最近はこれで竹の子を掘る方も増えていますね。この鍬は他の鍬と違い、柄を差すときにクサビを使いません。

柄だけで固く留める事が出来るように鍬の柄差し部分の形状がテーパー(細長い構造物の径・幅・厚みなどが、先細りになっている事)になっており、柄もそれに対応してテーパーになっています。

なので柄を入れるだけでハイ完成!といきたいところなのですが、新しい柄を入れるときはそうはいきません。

新しいバチツルの柄を入れる

バチツルに新しい柄を入れようとすると、

15cmほど残して柄が入らなくなったバチツル

運が悪いとこのあたりで止まってしまいます。

これだけ柄が出ていると打ち込んだ時に柄が地面に当たって作業が難しくなるのでもっと差し込みたいところです。

バチツルには大、中、小の3種類があり柄もそれらに対応して3種類あります。

一昔前は種類が一緒なら丁度良いところまでスッポリ入っていたものですが最近は途中できつくなって入らなくなる事が多くなりました。

規格が変わったのかどうなのかはよく分かりませんが、このままでは使えないので削らなくてはいけません。

万力で固定されてヤスリで削られるバチツルの柄

瀧川鉄工所では木工ヤスリで地道に削ってに調整していきます。

まず、一旦差し込んだ柄をバチツルから外してみましょう。部分的に摩擦で出来た跡が残っているのが分かります。

その延長線上の少し上ぐらいからそれを消すように削っていきます。そしてまたバチツルを差して入り具合を見ます。まだ足りないようなら外して同じように削って・・・と少しずつ深く柄を入れていきます。

このとき気を付けないといけないのは片面だけ削ってはいけません。必ず両面を同じように削らないと仕上がったときに変な傾きや角度が付いてしまいます。

柄と鍬が隙間無くぴったりとはまるのが理想なので一気に木工ヤスリの粗めでゴリゴリ削ってしまうと部分的に隙間が出来てしまいます。これは柄が折れたりガタガタする原因になるので気を付けてください。

削っては差し、削っては差し・・をくりかえして完成です!

2cmほど残して柄が入っているバチツル

このくらいまで入れば大丈夫ですね。

これは新しいバチツルの柄を入れる方法でしたが、長年使って痩せて緩くなったバチツルの柄を固く留めるにはどうすれば良いのでしょうか?

 

痩せたバチツルの柄を固く留める

バチツルを長い間使っていると少しずつ柄が痩せていくので、その度に深く柄を差し込んで固く留めていきます。

ですが最後には、もうこれ以上深く差し込んだら柄が抜けてしまう!という状態になります。そういうときはコレです。

長方形の薄いブリキの板

ん?何かって?ブリキの板です。

このような手で曲がるくらいの薄い鉄板を用意して、幅を鍬の柄差し部分より少し広く、長さは柄を一周ちょっとするくらいの長さにカットします。そして柄に巻いて丸く加工し、バチツルの柄にはめ込みます。

丸めたブリキの板を上からはめ込んだバチツル

そしてこの中に柄を差し込んでください。

うまくいかなかったら鉄板の差し込み方を調整してみてください。

上手くいくとこのようにピタッとはまります。

ブリキを巻かれた柄が1cmほど残してしっかり入っているバチツル

もし、これでも柄が固く留まらない場合は鉄板を長くするなどして調整してみてください。

 

そして、とうとう鉄板くらいではすっぽ抜けてしまうという状態になったら、最後の手段です。

柄を囲むようにヒツとの隙間にクサビを8本打ち込み真ん中にもクサビを打ち込んだバチツル

このように柄とヒツの隙間にびっしりクサビを打ち込みます。

この場合バチツルのヒツの長さより少し長いクサビを打ち込んで通しておいた方が良いでしょう。傾きや角度が変わらないように同じような長さ、厚みのクサビを選んでください。

最初に上下の2本を打って角度を決め、次に左右の2本で傾きを決め、そして余った隙間を埋めるようにクサビを打ってください。

それでは皆さんよき鍬ライフを~!