柄を差し直す時に
今まで使っていた鍬に新しい柄を鍬に差す場合や古い柄を差し直す場合、今度はもうちょっと高い角度で使いたい、とか左右にに傾いていたから直したいっていう場合、
クサビを使って直す方法を書きましたが、
今回は柄の削り方で鍬の角度や傾きを調整する方法を説明します。
削り方で角度を変える
鍬がついている状態だとあまりよく分かりませんが外してみるとこのように柄が曲がっているのがよく分かります。
この柄をこのまま差してしまうと鍬が傾いてしまい、使い勝手が悪くなります。せっかくなので柄を入れる段階で直しておきましょう。
この場合のように明らかに柄が曲がっている、もしくは鍬のヒツ(鍬の柄差し部分)自体が左右に傾いているという場合はクサビだけでは調整出来ない事が多いので柄を削って調整しましょう。
ですが柄を削る時には条件があり、ヒツより柄の方が太い場合、つまり削らないとヒツに入らないという時でないとこの方法は止めた方が良いでしょう。ヒツより柄が細くてスッポリ入ってしまうような場合は柄を削ってしまうと余計細くなり、折れやすくなってしまうからです。一番負荷のかかる部分なので不必要に削る事は避けた方が良いでしょう。そのような時はクサビのみで調整することをオススメします。
柄を削る
このように柄の両側を曲がりとは逆に傾くように削ります。画像は分かりやすくするために結構極端な削り方をしています。
これで柄を差して、鍬を持って素振りしたときに鍬がブラブラせずに使い勝手が良ければ大丈夫です。ここで気を付けないと行けないのは削りすぎない事です。削り過ぎて逆に傾き過ぎると(瀧川鉄工所では『逆振り』と言ってます)前より余計に使いづらくなってしまいます。きっちりと柄の芯をまっすぐにしようとせずに少し足りないくらいが丁度いいです。
なので少し削っては鍬に差して左右の振りを確認して、抜いてまた削るという作業を何回か繰り返すと失敗は少なくなるでしょう。
私も昔、大きく曲がっていた柄を鍬に差すとき、きっちりとまっすぐ使えるように柄を削って調整しました。柄は曲がっていますが、鍬のヒツから柄の先までがまっすぐ直線が通るように芯を取って差したので、素振りしても左右にぐらつく事は無くなりました。ですが、それをお客さんに渡すと「なんか鍬がねじれて入ってない?」と言われることが何度かありました。
そうなのです、この方法で柄を差すとヒツから柄が極端に曲がって出ているように見えるので、お客さんにしてみればこの方が違和感を感じるようでした。まさに【過ぎたるは及ばざるが如し】を地でいった出来事でした。なので、それからは大きく傾いた鍬を調整する時は少しだけ傾きを残すようにしています。
柄の削り方で角度も調整
このように柄の反りで角度が変わってしまい鍬の使い勝手が悪い場合は、上記の方法を応用して鍬の角度も調整することができます。
これも分かりやすくするために極端な削り方をしています。自分の好みに合わせて調整しながら削ってください。そして、クサビを併用することによって効果を増大させる事ができます。
ですが、削り過ぎにはくれぐれもをご注意を!
削り過ぎた柄は元には戻りませんのであしからず。
それでは皆さんよき鍬ライフを~!