折れた柄が抜けない!

使っていた鍬の柄が折れた!

気持ちよく農作業していたら『ポキン』と柄が折れてしまいました。これでは仕事にならないので、すぐに柄をつけないといけません。

柄が根元から折れてしまった鍬

ですが、その前にこの折れた柄を抜かないといけません。しかし、コレが一番やっかいな作業なんですよね。長い柄が付いている時は割と抜き易いのですが、しっかりとクサビが効いて固く留まっている柄が根元から折れた場合が一番抜くのに困ります。お客さんのお宅に行っても根元から折れた鍬が放置されているのをよく見かけます。

さて、どうやって抜きましょうか?

ここでやってはいけないのは、ヒツ(鍬の柄差し部分)を直接叩いて柄を抜こうとすることです。ヒツの部分は弱いので叩くとすぐに変形してしまい、万が一抜けたとしても次に柄を差すときに困る事になります。そして、どうやっても抜けないからといって焼いてしまうのも絶対やってはいけません。鍬には焼き入れがしてあるので、燃やしてしまうと焼きが戻ってしまう、つまり、切れが悪くなってしまうからです。

瀧川鉄工所では柄を抜くときはタガネという道具を使います。

大きさの違う3種類のタガネ

これを柄にあてがってハンマーで叩いて柄を抜くのですが、一般の方がもっているハズはないので代用品でやってみましょう。ヒツに入るくらいの古い鍬の柄、もしくは丈夫な木の棒を適当な長さに切ります。

20センチくらいに切った鍬の柄

はい、その辺にあった古い鍬の柄で作ってみました。柄の折れた部分に棒をあてがってハンマーで叩いてみます。基本的にヒツは出口より入り口の方が少し狭くなっています。なので入り口の方から叩いていきます。

万力で固定された柄の折れた部分にあてがわれた木の棒

うーん、ビクともしません。どうにもクサビがよく効いてるみたいで抜けそうにないですね(泣)こういう場合はもう最後の手段です。アレを使いましょう。

そう、ドリルを使います。

柄の折れた部分に穴を空けようとするドリル

クサビを避けるようにしながら折れた柄に次々と穴を開けていきます。この場合、出来るだけ太いドリルの方が効果があり、ヒツを傷つけないように気を付けながら両面から穴だらけにしていきます。これは木工用ドリルより、鉄工用ドリルでやった方がいいですね。木工用だと柄の中のクサビなどに当たるとドリルがダメになってしまうので、ウチでも鉄工用ドリルを使用しております。ちなみに瀧川鉄工所では鍬の柄を切る時なども鉄工用のノコギリを使用しています。

ドリルで5つの穴を空けられた折れた柄

これだけ穴だらけにしたらもう大丈夫だと思うのでまた木の棒をあてがって叩いてみてください。抜けていくような手応えがあればそのまま抜けるまで叩いてください。全くビクともしないという時はまたドリルで穴を空けてください。それを繰り返して行けばそのうち抜けるはずです。

折れた柄が抜けた鍬

やっと抜けましたね。これで柄を差すことができます。

それでは皆さんよき鍬ライフを~!