鍛冶屋の行きつけの店

誰でもふとした時に行きたくなる馴染みの店というものがあります。

一人になりたいとき・・・寂しいとき・・・そして、そこにいるだけで心落ち着く場所。自分にも最近よく立ち入るお店があります。

ネオンの明かりでぼんやりと明るいレンガ造りの建物

そこは綺麗なオネーサンに会えるバーでもなく、渋いマスターのいる喫茶店でもありません。

そこは、深い山の奥にあるのです。

山間の道路脇に設置された野菜や漬け物を販売している無人市場

はい、無人市場でございます。そうです、そこに人はおらず、置いてある野菜を買った分だけお金を置いて帰るという奥ゆかしいシステムで有名な無人市場です。

無人市場の中でそれぞれかごに入れて置かれたタマネギやきく芋

タマネギやきく芋などが置いてありますね。ですが、自分の心をわし掴みにして離さない物はこの隣にあります。

無人市場の中に置かれた『漬け物』と書いた張り紙のしてある冷蔵庫

無人市場には珍しく冷蔵庫が置いてありこの扉を開けると魅惑の世界が広がっています。

扉の空いた冷蔵庫の中に小袋に入れられたいろいろな種類の漬け物の入っている

素晴らしいですね。色んな種類の漬け物が沢山あります。中に入っている物は日によって違うのでいつも新しい発見があります。近くの農家の方が運営しており、家庭の漬け物を安価で分けて頂けるのでいつも利用させてもらっています。

小袋に入った大根の漬け物、パックに入った大根と大根菜の漬け物

今回買ったのは福神漬け、きく芋の漬け物、大根の漬け物、パックに入っているのも大根と葉っぱの漬け物です。これでご飯が美味しく食べられますね。

最近はこのような無人市場がめっきり減ってしまいました。それは、道の駅やスーパーなどが個人農家と直接契約するような形態が増えてきたことも原因にあると思いますが、やっぱり多いみたいですね・・・お金入れずに持って帰る方が。

以前、無人市場を経営していたお客さんに聞いた話です。朝、売り場に野菜を置いて夕方に戻ってくると売り物が何も無くなっており、全部売れたのかと思って代金箱を空けてみると一円も入っていませんでした。道路沿いにある無人市場なので車が止まっては野菜を取っていったそうです。え?なぜ分かったかって?近所の庭の高い木の上で仕事をしていた植木屋さんが全てを目撃していたのです!農村は人がいないようでどこかで誰かが見ているので悪いことはできませんよ!そんなことがあって無人市場を辞めてしまったそうです。本当に悲しい話ですよね。

そんな話をちょいちょい聞く事があるのでいざ自分が無人市場の前に立つと結構緊張します。『俺、ちゃんと払うし!』誰も聞いてないのにぶつぶつ言っています。金額が間違っていたらいけないので電卓で計算して『6*120=720円 イエェイ、正解!』とまた一人言・・・。『今からお金を入れますよ!っと100え~ん、200え~ん、300え~ん・・・』もうほとんど不審者の挙動ですね。

小心者の自分としましては支払ったことを証明できるのが自分だけというのがとてもプレッシャーですが美味しい漬け物の為にまた来ますよ!

無人市場という名のモラル判定機に!