鍛冶屋、20年来の謎を解くの巻

鍛冶屋の謎

瀧川鉄工所の工場内部

瀧川鉄工所は主に鍬の製造・修理を行っており、

だいたいの物は自前で作っています。

毎日振っている金槌や、様々な火箸も先代が造った物です。

ですが、鍬の柄だけはどうにもなりません。

立てかけられた何本もの鍬の柄

さすがに仕入れています。ええ、人任せです、ハイ。

今まで社会の変化に合わせて、全国色々な業者からを購入してきました。

九州から東北、仕入れ先は様々ですが、一つ必ず共通していることがあります。

注文どうりの本数が届かない!

10本頼めば12本・・・・

30本頼めば35本・・・・・

何故かいつも多めに届きます。

サービス?いえいえ、ちゃんと本数分請求されていますよ。

5本も違えば結構値段も変わってくるので、

ちょっと鼻血が出そうになります。

まあ、どうせ使うのだからと思っていつもそのまま受け取っていて、

令和の時代になってもこの慣習は続いています。

いったい何なんでしょうか?

謎に迫る鍛冶屋

これは木工業界に古くから伝わるルールとかしきたりなのでしょうか?

さすがに不思議な疑問が止まらないのでちょっと聞いてみることにしました。

いつも柄を仕入れてもらっている業者さんにこの20年来の疑問をぶつけてみると、

こんな回答が返ってきました。



人がこちらに向けて人差し指を指している



『配送料の関係でしょうかねぇ、

1個口にできるだけ詰め込む事によって、

一本当たりの送料が安くなるんですよ。』

もう一つは、

『製材所で柄を製材するとき、

一本の大きな丸太から何本もの柄を造るので余りを残したくない。』

とのことでした。

うーむ・・・

答えを聞けども

なるほど・・・・。若干腑に落ちないですが、理解はしました。

この業界売り手市場なのですね。

どうにも最近は鍬の柄を製材してくれるところも少なくなったらしく、

問屋さんも頑張って製造元を探してくれているみたいです。

なのであまり無理は言えません。

手に入ればよしとすべきなのでしょうね。

なので最近は手に入らない柄も増えてきました。

特に山鍬の柄などはもうウチでは仕入れることはできません。

台の上に置かれた山鍬(バチ鍬、唐鍬)

山鍬(バチ鍬、唐鍬)

台の上に置かれた山鍬(バチ鍬、唐鍬)

左、山鍬 右、板鍬

細いのから太いの長いの短いのと何種類もあったのですが、

もう特注しないと造ってもらえないみたいです。

なので、農家の納屋で使えなくなった山鍬に

素晴らしい四尺の柄が付いていた場合などはもう、

心から修理を勧めています。

時代の流れ

とはいえ、最近は軽量の鍬が好まれています。

それに伴い柄も短く軽い物に需要があるのかもしれません。

ちょっと寂しい気もしますが、農業の形態が変化したということなので、

しっかりとついていかないといけませんね。

あ、そういえば一軒だけ、注文どうりに送ってくれるお店がありました。

えっと、たしか、、、あまぞん、、、とかいう名前でしたっけね。【完】